もうすぐ「立夏」を迎えます

5月5日は「立夏(りっか)」。二十四節気のひとつで、暦の上での夏の始まりを告げる日です。新緑が深まり、風が爽やかになる、本来であれば気持ちのいい季節の入り口のはずです。

ところが、ちょうどこの時期、「身体が重くてやる気が出ない」「眠りが浅い」「動悸がする」「気分が落ち込みがち」という方が増えます。ゴールデンウィークの疲れもあって、なんとなく不調が続いている方も多いのではないでしょうか。

東洋医学ではこれを偶然とは考えず、身体が季節の変わり目に対応しようとしているサインと捉えます。立夏は陽気が一気に強まる転換点で、身体への負担も大きくなる時期。過ごし方しだいで夏全体の体調が変わってきます。

立夏に体調不良が出やすい理由——「心」が主役の季節

東洋医学の五行説では、夏は五臓のうち「心(しん)」の季節です。心は西洋医学でいう心臓そのものではなく、血を全身に巡らせる働きと、精神活動・意識を司る働きの両方を持つ臓と考えられています。

立夏から立秋までの3ヶ月、心は1年のうちで最も活発に働きます。気温が上がるにつれて汗をかく機会が増えますが、東洋医学では「汗は心の液」と言われ、汗をかきすぎると心の力が消耗していきます。

立夏のころはまだ盛夏ほど暑くはないものの、寒暖差が大きく、身体が暑さに慣れていない時期です。急に暑い日が続いたり、冷房が効いた室内と暑い屋外を行き来したりすると、心がそのペースに追いつかず、次のような不調が出やすくなります。

動悸・息切れ、寝つきの悪さ・眠りの浅さ、イライラ・焦燥感、顔のほてり・のぼせ、気分の落ち込み、口内炎、集中力の低下——これらは心への負担が現れているサインです。

加えて、4月から続いた新年度の緊張がゴールデンウィークでほどけたタイミングで、ためこんでいた疲れが一気に表面化することもあります。「連休が明けたのに身体が重い」「やる気が出ない」という感覚は、五月病的な要素と立夏の身体の変化が重なって起きていることが少なくありません。

足立区でも、ゴールデンウィーク明けにこうした症状でご相談に来られる方が増えてくる時期です。

立夏の食養生——心の熱を冷まし、汗の消耗を補う

東洋医学では「夏は苦味と酸味のある食材が身体を助ける」と考えます。旬の食材にはその季節の身体を整える力があるとされています。

苦味で心の熱を冷ます

ゴーヤ、春菊、セロリ、レタス、ふきのとう、緑茶などの苦味のある食材は、心にこもった熱を冷まし、のぼせやイライラを和らげる働きがあります。立夏のころから少しずつ食卓に取り入れていくと、夏に向けて身体の準備が整います。

酸味で汗の消耗を抑える

梅干し、酢の物、柑橘類などの酸味のある食材は、汗の出すぎを抑えて身体を引き締める働きがあるとされています。汗で気と水分が一気に抜けていくのを防ぎ、夏バテの予防にもつながります。

温かいもので脾を労る

意外と大切なのが、温かいものをひと品入れる意識です。夏が近づくと冷たい飲み物・アイス・冷えた素麺などが増えますが、これらは胃腸(脾)を冷やして気血の生成を妨げ、夏バテの大きな原因になります。鶏肉や山芋、豆類を使った温かいスープやお粥は、消化に優しく気を補う食材として立夏の時期にぴったりです。

避けたい食べ方

冷たい飲み物のがぶ飲み、氷たっぷりの飲み物、辛すぎるもの、油っこいものは、心や脾に負担をかけます。腹八分目を意識し、よく噛んで食べることも大切です。

立夏の過ごし方——「のびのびと、焦らずに」

古典『黄帝内経』には、夏は「夜は遅めに寝て、朝は早く起きる」「日の光を厭わず外に出る」「気持ちを発散させ、怒らずに過ごす」と記されています。陽気が満ちる時期は身体も外向きに動かし、心はのびのびと保つことが大切とされています。

立夏の養生で特に意識したいのは、焦らない・慌てないことです。心は焦りや動揺によって最も傷つきやすい臓とされ、急いで走る、駆け込み乗車する、慌てて食事をする、といった行動は心に大きな負担をかけます。時間と気持ちにゆとりを持つことが、夏のスタートを健やかに切る鍵になります。

朝の散歩や軽いストレッチで適度に汗をかくのもおすすめです。冷房の効いた室内にこもりきりになると、汗をかく機能が鈍り、かえって熱がこもりやすくなります。ただし汗のかきすぎは気を消耗させるため、激しい運動より「ほどよく」が立夏の合言葉です。

この時期の不調に、鍼灸でできること

食養生や生活の工夫と並行して、鍼灸で気血の巡りを整えることで、季節の変わり目の不調が落ち着きやすくなります。だるさ・寝つきの悪さ・動悸・イライラ・気分の落ち込みなど、「なんとなく不調」が続いている方はぜひ一度ご相談ください。

はりきゅうはれ梅島院では、身体全体の状態を見ながら、患者様ひとりひとりに合わせた鍼灸治療を行っています。まずはお気軽にお声がけいただけると嬉しいです。

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