肩こりや首こりに鍼灸を考えるとき、気になるのは「どのような治療をするのか」「自分のつらさに役立つのか」ということではないでしょうか。鍼灸は、首肩の重だるさや痛みを和らげることを目指して用いられる治療の一つです。肩こりを対象とした研究には症状が軽くなった報告がありますが、誰にでも同じ効果があると確定したわけではありません。

足立区梅島のはりきゅうはれ梅島院では、肩の硬さだけでなく、つらくなる時間帯や作業中の姿勢、眠りや食欲なども伺い、気血のバランスを整える脉診流経絡治療を行っています。ここでは、肩こりへの鍼灸研究、当院の治療の考え方、首肩の負担が繰り返す仕組みを順にお伝えします。

肩こりへの鍼灸研究で、分かっていること

肩こりへの鍼灸を考えるとき、首の痛み一般の研究と、日本でいう肩こりそのものを対象とした研究は分けて読む必要があります。肩こりは痛みに限らず、張りや重さ、こわばりなどを含むためです。

2023年には、肩こりのある方を、皮膚に浅く刺す鍼、皮膚に触れる模擬鍼、皮膚に触れない模擬鍼、治療を行わない群に分けた比較試験が報告されました。鍼や模擬鍼を受けた群は、何も行わない群よりも直後と翌日の肩こりが軽くなりました。一方、皮膚に刺す鍼と触れる模擬鍼の間には、明確な差が確認されませんでした。鍼の刺激だけでなく、治療を受ける状況も結果に関わることが示されています。参考:2023年の肩こりに対する比較試験

2026年に公表された肩こりの研究をまとめたレビューでも、通常の鍼と模擬鍼を一括して比べると、症状の改善に明確な差はありませんでした。ただし、皮膚に刺さない模擬鍼に限った比較では、治療期間の終了時に通常の鍼が有利な結果でした。研究の偏りや小規模な試験が多いことから、根拠の確実性は「非常に低い」と評価されています。参考:2026年の肩こりに対する鍼治療のレビュー

こうした結果は、鍼灸を考える手がかりになります。ただし、一度の治療後の変化と、長く続く肩こりの経過は同じではありません。研究の治療方法も一様ではなく、その結果を当院の経絡治療の効果や、一律の通院回数に置き換えることはできません。

当院では、首肩と全身を合わせて鍼灸治療を考えます

肩こりの鍼灸治療では、「肩が硬いから強い刺激を加える」と決めるのではなく、首肩の反応とお身体全体の状態を合わせて考えます。当院では、つらさの経過を伺い、お腹や手足、首肩などの反応を確認して、その日の治療を組み立てます。

経絡治療では、全身の気血の状態を整える「本治」と、つらさのある場所に応じた「標治」という考え方があります。そのため、肩こりでも手足の経穴を用いることがあります。肩の訴えを置き去りにするという意味ではなく、全身と局所を合わせて治療を考えるためです。当院の治療の考え方は、脉診流経絡治療のご案内でもご紹介しています。

医療機関で治療を受けている方は、その方針を踏まえ、並行する補助的なケアとして考えます。

治療後には、重だるさや首の動かしやすさなどを確かめます。その場の感覚に加え、翌日の仕事や家事ではどうだったか、楽に感じた時間はどのくらい続いたかも、その後の治療を考える手がかりになります。通院は回数を一律に決めず、経過や生活の負担を踏まえてご相談します。

肩こり・首こりが繰り返す原因を、筋肉の働きから考える

肩こりは、首すじから肩、背中にかけて感じる張りや重さ、こわばり、痛みなどを表す言葉です。一つの病名というより、いろいろな背景から生じる症状として捉えます。

代表的なのが、首の後ろから肩、背中へ広く走る「僧帽筋(そうぼうきん)」です。上部・中部・下部で働きが異なり、肩甲骨を引き上げる、背骨側へ寄せる、腕を上げるときに回転させるなどの役割を分担しています。肩の上だけでなく、背中まで含めて腕の動きを支える筋肉です。

その深いところには、首の骨である頸椎の上部から、肩甲骨の上内側へつながる「肩甲挙筋(けんこうきょきん)」があります。肩甲骨を引き上げるほか、肩甲骨が固定されているときには首の動きにも関わります。肩をすくめた姿勢が続くときは、こうした筋肉が働き続けることになります。参考:僧帽筋の解剖、肩甲挙筋の解剖

また、後頭部と上部の頸椎の間には、「後頭下筋群(こうとうかきんぐん)」という小さな筋肉の集まりがあります。頭を反らす・回す動きや、頭の位置を細かく調整する役割を担います。首こりを考えるときには、肩の表面の筋肉だけでなく、こうした首のつけ根の構造にも目を向けます。参考:後頭下筋群の解剖

パソコンや手元の作業では、動いていないように見えても、頭や腕の位置を保つために筋肉が働いています。頭が前へ離れるほど、その重さで前に倒れようとする力を支える必要が生じます。さらに、腕を前へ出したまま作業を続けると、肩甲骨の位置を保つ働きも続きます。このように、筋肉を大きく動かす運動とは違う、姿勢を保つための負担が重なることが、首肩のつらさを考える手がかりになります。

ただし、肩こりを「血流が悪くなり、疲労物質がたまった状態」とだけ説明することはできません。筋肉の緊張に加え、首や肩の関節、日々の活動、ストレスなども関係し、原因の重なり方には個人差があります。肩が硬いかどうかだけで、つらさのすべてが分かるわけではありません。

日本整形外科学会でも、長時間同じ姿勢をとることや運動不足、精神的なストレス、冷房などが肩こりの背景として挙げられています。姿勢だけを正そうと頑張るよりも、作業の続け方や休み方まで含めて振り返ることが大切です。参考:日本整形外科学会「肩こり」

デスクワークの肩こりは、作業環境まで振り返る

画面が低くて顔を近づける、マウスが遠くて腕を伸ばし続ける、机が高くて肩を上げたまま入力する。仕事中の姿勢を振り返ると、首肩に力が入り続ける場面が見つかることがあります。

「背筋を伸ばさなければ」と意識し続けることだけが対策ではありません。足が床につく座り方にする、入力機器を手の届きやすい位置へ置く、画面を無理なく見られる高さにするなど、力を入れ続けなくても作業できる環境を考えます。厚生労働省の情報機器作業のガイドラインでも、作業時間とともに、机や椅子、画面、入力機器の調整を扱っています。参考:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」

目の疲れが気になる日は、文字が小さすぎないか、画面に光が映り込んでいないかも見直してみてください。首肩だけに意識を向けていると、画面を見るために無理な姿勢を続けていることに気づきにくいものです。目の症状と首肩のつらさが重なる方には、眼精疲労と首肩こりの記事でも詳しくお伝えしています。

東洋医学では、気血の巡りとお身体を支える力を見る

東洋医学では、肩こりを首肩の局所だけでなく、気血や経絡の状態と合わせて捉えます。気血は、お身体の働きや養いを考えるための伝統的な概念です。気を自律神経、血を血液そのものと置き換えるものではありません。

たとえば、張り詰めるような忙しさとともに肩の張りが増す場合は、気の巡りという視点が手がかりになります。一方で、疲れやすさが続き、休息が足りていない方では、巡らせることだけでなく、気血を養うという見方も大切にします。冷えるとこわばり、温かい環境で楽に感じる方では、寒さが巡りを妨げていないかを考えます。

これは、ご自身を決まったタイプに当てはめるための分類ではありません。疲れと冷えが重なることもあり、同じ方でも季節や生活によって状態は変わります。「慢性化しているから必ず気血が滞っている」と、期間だけで決めることもしません。

肩こりの養生は、無理なく動かせる範囲から

肩こりの養生では、一度にたくさんのことを始めるより、今の生活に組み込める工夫を選びましょう。座り続ける時間を区切る、無理のない散歩をするなど、日常に動く機会を戻すことから考えます。

肩を動かすときは、大きく回すことや強く伸ばすことを目標にせず、心地よい範囲で行います。つらさを我慢して首を引っ張ったり、強い刺激を繰り返したりする必要はありません。動きの大きさよりも、無理なく続けられるかを目安にしてください。

温めると楽に感じる方は、ぬるめの湯に入る、首肩に当たる冷房の風を避けるなどの工夫も選択肢です。熱さを我慢したり、長湯でのぼせるまで温まったりせず、ご自身が心地よく感じる範囲に留めます。

足立区梅島で、肩こり・首こりの鍼灸をご相談ください

足立区梅島のはりきゅうはれ梅島院では、肩こりや首こりの経過と、お身体全体の状態を伺いながら鍼灸治療を行っています。長く続いている肩の重さ、デスクワークや家事の後のこわばりなど、普段のお困りごとをご相談ください。

梅島駅より徒歩7分。ご予約・お問い合わせは、Web予約、LINEまたはお電話で受け付けています。診療時間や治療の所要時間は、料金・診療時間のご案内でご確認ください。

この記事の治療の考え方をお伝えしているのは、はり師・きゅう師の国家資格を持つ鍼灸師の鹿住幸弘です。当院の診察や経絡治療の考え方については、治療のご案内と合わせてご覧ください。